「写真を見て描く」あり?なし?
Contents
写真を活用した絵の練習法!メリットと注意点
写真を見て描くのは上達の近道?その落とし穴
絵を描くとき
「写真を見て描くのはズルなのでは?」
「写真に頼りすぎると想像で描けなくなるのでは?」
と不安に思うことはありませんか?
この記事では、写真を活用するメリットと注意点、戦略的な練習方法について解説します。最後までご覧いただき、写真を有効に活用しましょう。
写真を見ながら描くメリット3選
1. 効率向上ができる
写真を見て描けば、絵を描くための時間を短くすることができます。
写真を使わない場合、例えば屋外で風景画を描くときは、その場所へ足を運ぶ必要があります。また天気が悪い時は絵を描くことができません。

今日は天気が悪いから絵描きはお休み、では、なかなか進まないですよね。ま、天気が悪くても室内で手を加えることはできるのですが・・。
室内で描くときでも、写真を使わないで静物を描くときは、絵が完成するまでモチーフをセッティングしたまま置いておく必要があります。

場所に余裕があれば良いですが、そうでないことも多いでしょう。そうでない場合は一度片付けたりして、再び描く前に改めてセッティングし直す必要があります。
余分な時間がかかりますね。
また果物や花などのナマモノは、時間が経つと変化してしまいます。写真を使えば、変化を気にせず絵に集中することもできます。
写真を使わないで人物を描くときは、モデルさんに依頼する必要があります。費用もかかりますし、時間をかけて描いていれば、髪型や表情など少しずつ変化しています。

私も受験生時代に、モデルさんをモチーフにした人物デッサンをやったことがあります。こまめに休憩を挟みながらやっていました。もちろん休憩というのは、描いている受験生の休憩ではなく、モデルさんの休憩です。
写真を使えば、休憩時間は描いている人の自由です。数ヶ月後、数年後に加筆しようと思っても、全く変化はありません。
また写真は二次元であり、絵もたいていは二次元です。二次元から二次元にうつしかえるので、手っ取り早くリアルな表現をしたい場合は、写真を使うことが効果的です。
ただし写真を使うことによる弊害もありますので、写真ばかり見て描くことにならないよう注意しまし
2. 事前にシュミレーションができる
写真を撮影するときは、スマホやデジカメなどのデジタルデータで扱うことがほとんどです。アナログなフィルムカメラで撮影している方は、スキャナーで取り込んでデジタルデータにしたと考えてください。
画像編集のソフトやアプリを使って、ハイライトを強くしたり弱くしたり、色味を赤っぽくしたり緑っぽくしたり、全体を変形させてパースをつけたり、変化させることができます。
ノーマル状態
薄くすると
濃くすると
色味を変えると
パースをつけると
絵を描く前に写真資料を変化させてシュミレーションすることで、アイデアや構図を実際に確認することができます。
同じことを実物の絵でやるのは時間がかかりますし、やってみたものの気に入らなかったときは描き直しになります。
精神的ダメージを負ってしまいます。
3. 光学的な見方がしやすい
屋外で風景をスケッチするときや、明るい日中に室内で静物を描く時など、光は時間により変化します。

午前中と夕方とでは光の方向が違うため、陰影の方向も当然変化します。
遮光カーテンを閉めて室内灯のみで描いていれば変化しませんが、それでは屋外の風景を描くことはできませんし、実はあまり目にもよろしくない、という意見もあります。
写真ならば時間による変化がありませんので、じっくりと光と影の法則をとらえることに取り組むことができます。

また「2.シュミレーション」と組み合わせると、ハイライトを強くしたり弱くしたりすることができます。目では分かりにくい明暗の変化の具合を、画像編集で強調させ、分かりやすく確認することができます。
写真を見て描くときの注意点と落とし穴
1.無意識の模写はNG!形や構造を理解しながら描く
写真をそのまま模写しているだけでは、空間や奥行きの表現が身につきにくくなります。いつでもどこでも上手に空間を把握し表現できるようになるには、なぜその形になっているのか、どんな構造なのかを三次元的に意識しながら描くことです。
人物を描く場合、ただ輪郭をなぞるのではなく、三次元的に骨格や筋肉の流れを理解し二次元に置き換えて描くことで上達していきます。

写真だけに頼っていると、この三次元的な見方をしなくなります。実物のモチーフと写真をバランスよく描くようにしましょう。
2. 100%写真に頼ると、想像による描写力が弱くなる
写真ばかり見て描いていると「写真がないと描けない状態」になりがちです。これを防ぐためには、写真を使う練習と、想像して描く練習のバランスを取る必要があります。

3. オリジナリティを出す工夫をする
写真を活用するのは良いですが、そっくり真似するだけでは、自分らしい表現が生まれにくいというデメリットがあります。
そこでおすすめなのが、構図を変えたり、デフォルメを加えたりする工夫です。
絵というものはアート作品です。写真をそっくりそのままなら「わざわざ絵にしなくても、写真でいいんじゃないの?」となってしまいます。写実的な表現をしていると、ほぼ間違いなくこの壁にぶちあたります。
写真を超える細密さを追求するという方法もありますが、写真にはないオリジナリティ、あなたの個性を表現することが大切になってきます。
4.写真の画像と、肉眼の画像は違う
上記のデフォルメやオリジナリティと反すると感じる方もいるでしょう。
よりリアルさ、細密さを追求してアート作品を仕上げようとする場合、写真は肉眼で見た実物と違うことに気がつくはずです。
肉眼では、角膜というレンズを通った光が網膜で画像を結び、視神経を通して脳へ信号を送り、画像として認識します。
カメラはレンズを通した光がフィルムやセンサで像を結び、画像となります。
網膜は曲面であり、かつ左右の目で見た2種類の画像を、脳が自動で合成して一つの画像として処理しています。
それに対してカメラは通常レンズは1つであり、フィルムやセンサは平面です。
そのため、写真の画像中心部ではあまり気になりませんが、隅の方になると歪みが出ます。わざと歪みを持たせたり、歪みを強調して描くならばいいのですが、見たものを見たまま正確に描きたい場合、写真は不向きです。
そういう時は、肉眼で実物を見て描きすすめ、写真は補助として活用するのが良いでしょう。
5.著作権侵害
ネットを検索すれば、大抵どんな写真もヒットします。自由に使用できるフリー素材ならいいのですが、誰かが撮影した写真を勝手に使用して絵にすると、著作権侵害に当たる場合があります。

練習用として使用するだけで、SNSや個展など不特定多数の人の目に触れるところへ出さない、それなら著作権侵害にはあたりません。
SNSや個展に出したり、それを販売したいのでしたら、ロイヤリティフリーの写真を使ったり、自分で撮影した写真を使いましょう。
まとめ
まとめです。
写真を使うメリットは、
- 効率向上
- 事前のシュミレーション
- 光学的な見方
注意すべき点は、
- 形や構造を理解して描く
- 想像による描写力とバランスをとる
- オリジナリティを出す
- 肉眼とは違うことを理解する
- 著作権侵害に注意する
いかがでしたか?
写真を上手に活用することで、形や光の理解が深まり、より正確な絵を描けるようになります。ぜひ、写真を上手に活用しながら、自分だけの表現を磨いてみてください!