公募展効果
アトリエ松竹梅物語、今回は公募展や企画展への応募についてです。応募することで、何か変化があったのでしょうか?
公募展へ応募
毎日ペン画を描くようになり、着実にレベルアップしていったころ、
「私の絵は、他の画家と比べてどのくらいのレベルなんだろう?」
と思うようになりました。
公募展や企画展に応募すれば、入選、入賞、選外など、はっきりした結果が残ります。ネットで情報を集め、色々な公募展等に応募してみました。ただ、なんでも応募すれば良いというわけではありません。
写実的な作品を求めていることや、あまり大きすぎないこと(100号の隣に並べられたら、どうしようもないよー)等の条件をもとに調べ、あちこち応募してみました、
結果は・・・。
応募したほとんどの公募展で、入賞することができました。やったね!
評価の仕組み(公募展によって違いはあります)
選考する人たち(選考委員)が、まずは応募作をざっと見て、「流石にこれはあかんやろ、違うやろ」っていうものをふるい落とします。レベル的に低すぎるもの、コンセプトに合わないもの、大きさなど応募規定に合わないもの、などです。
ここで残ったものは「入選」となります。
入選は、多少絵を練習してある程度描けるようになれば、あまり上手でなくても、アート性が低くても、ほとんどの人が到達できます。
入選したものをさらにじっくり見て、優れたものを何点か選出します。選考委員が複数名の場合、意見が割れることもあります。その場合は話し合って決めます。
これが「入賞」となります。
大賞、画廊賞、新人賞、色々な種類があります。入賞すると賞金がもらえたり、画廊で個展を開く権利をもらえたり、以後入賞者だけの企画展に参加できたり、特典があることが多いです。
入賞を繰り返すことで、大切なことが分かりました。
公募展で入賞したからといって、急に絵の依頼が増えるとか、個展での売り上げが上がるとか、そんなことはありません。(そう思っていたのは、何をかくそうこの私だ)
勲章みたいなものです。ハクは付きます。無駄ではないですが、直接画業が広がるわけではないのです。
入賞して画業の幅が広がった人がいるとすれば、元々他の人にはない独自の世界観があり、それが入賞をきっかけに誰かの目に留まったということです。
平たくいうと、もともと運と実力を兼ね備えていた、ということです。
弱点が判明
結局、入賞しても状況はこれまで通りでした。しかし、無駄に終わったわけではありません。
長年アートの世界にいた人は、見る目があります。自分一人で黙々と描いていてはなかなか気がつかない、いいアドバイスをたくさんもらいました。
新宿の、とあるギャラリーの企画展に参加した時言われたのは、
「大したものだ。技術的にはすごいけどねぇ・・・」
「優等生的な絵で、あなたの個性、世界観が薄い」
「コレクターさんからしたら、買おうとは思わない」
「見たものを見たまま写実的に描くだけでなく、アート性を出した方がいい」
そんな感じでした。
それまでは風景画、特に地元の日本的な風景を描いてきましたが、それだけでは単なる風景画です。見たものを見たまま描いています。それでは、パッと見て、「上手に描いているねぇ」で終わりとなってしまうし、「別に写真でいいやん」という人も出てきます。
写実的な絵を描いていると、必ず言われますよね。「写真みたい」「写真でいいじゃん」
上手な人はたくさんいます。その中には、風景画を描く人もたくさんいます。だから、単なる風景画で勝負しても、埋もれてしまいます。
自分なりの独自の世界が表現されていれば、「この人の世界観が好き」となります。芸術性とか、アートというのは、独自の世界観をどう作り上げるか、です。
「ツルモク独身寮」という漫画(よく読んでました)に、ボンジョールノ山本という家具デザイナーが登場します。腕はピカイチですが、性格は曲がってます。彼は成功の秘訣を聞かれて、こう答えていました。
「センスでーす。どれだけ自分独自の世界を構築し得るか、そして周りの人を惹きつけることができるか、そういう独りよがりでわがままなパワーが、センスでーす。」
以降は、自分なりの世界を意識して描くようになりました。
アドバイスはいただいたものの、そんなにすぐにできるようになれば苦労はしません。基本は風景であることはこれまで通りですが、試行錯誤しながら、世界観を意識するようになりました。これは今でも試行錯誤中です。
ただそれからは、ありがたいことに某コレクターさんが私の作品をたくさんお買い上げくださるようになりました。ありがたいアドバイス、ありがとうございました。
企画展に出品した作品が完売したり、コレクターさん主催の企画展にも選抜されて招待されたりして、非常に嬉しかったです。
最近ご無沙汰ですが、元気かな。
いろんな人のいろんな意見をもらうことは、とても大切です。人の意見を聞かない頑固さは、あまりお勧めできません。絵を描く人は積極的にいろんな人と交流する機会を持ち、変化していくことを恐れず、進んでいきましょう。
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