進化
アトリエ松竹梅物語、今回は、毎日絵を描き続けると、スキルがどう進化していくか、を振り返ってみます。
絵を描くのは好きだけど、毎日継続するのはちょっとしんどい・・という方の、モチベーションアップの助けになればうれしいです。
継続は力なり
初めて個展を開催したのは、2008年6月でした。2回目は1年後と決めて、新作をためるべく、毎日絵描きに取り組みました。
平日はサラリーマンが終わった後、絵描きに取り組みます。
定時上がりの時は3時間くらい絵を描き、
1時間残業時は2時間くらい絵を描き、
2時間残業時は1時間くらい絵を描き、
3時間以上残業時は、10分でもいいからちょっとだけでも絵を描く、
休日は用事がなければ、朝から晩まで、12時間くらい描く
ようにしました。
すでにペン画歴は15年くらいあったのですが、それまでは気が向いた時に描く程度でしたので、あまり上達はしませんでした。それが毎日描くようにすると、この15年あなたな何をしてきたの?と思えるくらい、格段に進歩してきます。
そしてそれは1年ごとに個展を開催するたびに、強く感じました。
初個展(2008年)
この時もかなりの好評をいただきましたが・・。
2回目の個展(2009年)
会場に並んだ作品群を見て感想。
「お〜、わし、頑張ったのう!」
レベルアップを実感しました。毎日継続する大切さを実感しました。もうこれ以上レベルアップは難しいんじゃないかと思っていましたが・・・。
3回目の個展(2010年)
2回目をさらに上回ったと思いました。継続するって、すごいです。
この頃、昔かわらを作っていたと言う方が見にきてくださり、私の作品を見て、「かわらがこんなにきちんと正確に描かれている絵は初めて見た」と言ってくださいました。プロのかわら職人に言われたことが、何より嬉しかったですね。
また別の方は、あまりの見事さに心を打たれ、この場から離れられない」と言ってくださりました。最高の褒め言葉、ありがとうございました。
ペン画は完成まで時間がかかるので、値段は高めに設定しています。それでも何枚かお買い上げいただいた絵もありました。ありがとうございました。
原画は高めですが、お手軽なポストカードも販売していました。こちらはたくさんお買い上げいただきました。ありがとうございました。
ジュディ・オングさんに魅せられて
そして3回目の個展が終了し、流石にこれ以上の進歩は難しいだろうと思いながら、4回目の個展に向けて頑張っていた頃・・・
高浜市やきものの里かわら美術館で開催された、「ジュディ・オング倩玉 木版画の世界」を見に行きました。ジュディ・オングさんは、名曲「魅せられて」の独特な衣装や振り付けが有名です。昭和世代の方はよくご存知かと思います。よくモノマネしましたよね。
台湾出身の歌手で、版画家でもあります。白日会の会員で、同会や日展に何度も入選しています。マルチな活躍、素晴らしいですね。
そこでその素晴らしい世界観に衝撃を受けました。びっくりしました。まさに「魅せられて」しまいました。
ジュディ・オングさんにはなれませんが、自分なりにいいところを取り入れ、さらなるレベルアップを目指しました。
影響①カラー化
それまで白黒のみで表現していた私の作品も、それ以降カラーインクによる着彩が入るようになりました。基本は白黒ですが、色が入ることで、印象が変わりますね。
私が着彩に使っているのは、ホルベインのドローイングインクです。ただし今は生産中止となっています。下の画像の右側のビンが、生産中止になっているドローイングインクです。
その代換品が、左です。
カラーインクは色々な種類がありますが、染料系と顔料系があります。染料系は色付きの液体、顔料系は微細な粒子を液体に溶いたもの、と考えてください。
染料系の方が手軽で色の種類も豊富なのですが、光により褪色しやすいので、作品制作に使うには顔料系を使いましょう。
影響②大サイズへ挑戦
大きなサイズに挑戦するようになりました。
ペン画は細密な表現ができる反面、制作に時間がかかります。そのためA4程度(4号くらい)の小さなサイズが主流です。A3(8号くらい)ともなると、大きめの部類に入ります。
もっと大きな絵にしてみようと、よく使用していたバロンケント紙で購入できる最大サイズである、全紙サイズ(1091×788mm)の作品にチャレンジしてみました。
号で言うと、40〜50号程度です。
100号とか150号と並べると小さいのですが、ペン画でこれだけのサイズを描いている人は、いるにはいますが、あまり見ません。
このサイズで描いていると、我ながら「変態かよ」と思ったり思わなかったり・・・。
この作品は、4回目の個展(2011年)時に出品しました。岡崎の観光名所である岡崎公園の風景なのですが、同公園で外国人観光客相手にガイドをしているという方が見にきてくださり、これを見て、「ここはよくお客さんを連れて案内するところ、石垣が全くこの通りだ」とびっくりされていました。
影響③4文字熟語
台湾出身の彼女らしく、作品の題名は漢字でつけられたものが多いです。
その題名が、日本の風物に見事にマッチしていて、なんてカッコいんんだと思いました。私もそれをしてみたいと思い、真似しちゃいました。
上に掲載した岡崎公園の石垣の作品は「秋光燦々」です。
そしてこれは「盛夏幻影」。
「初夏陶彫」
招猫街角
生中中庭
怪しい名前もありますが、この時のジュディオングさんの衝撃が、今の私の作品の一部に色濃く影響を与えています。
素晴らしい芸術に出会い、感性を刺激するというのは、素晴らしいことです。ありがとうございました。
私の作品も、まだまだ完成形ではありません。常に上を目指し、時には斜め上を目指し、誰かの感性を刺激して目標とされるよう頑張ります。
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