【ペン画】ハケを描いてみよう
ペンで線を引く、陰影をつけるという基礎練習をある程度続けたら、実際にモノを描いてみましょう。
基礎練習が足りていなくても構いません。モノを描きながらでも基礎練習はできます。
私は90年代半ばからペン画を描き始めましたが、実は基礎練習はほとんどしていません。モノや風景を描き続けることで、基礎練習としていました。
ハケの描き方については、鉛筆デッサンでのやり方を以下で紹介しています。描き方についての基本的なことはこちらでも紹介していますので、よろしければ参考にして下さい。
今回はペンを使ってのハケの描き方のコツを紹介します。最後までご覧いただき、素敵なペン画ライフを過ごしましょう。
毛の部分を描く
初心者の方、まだ描き慣れていない方は、ハケの毛の部分をどう描いたらいいか、迷ってしまいます。私も迷いました。
毛を描くコツは以下の通りです。
①全体の陰影をとらえる
ペンは細部の表現に向いている画材だけに、描こうとすると細かい部分だけに目が行きがちです。しかし全体の陰影をとらえていないと、不自然な仕上がりになってしまいます。
白っぽく見える毛の部分も、光のよく当たる上部と、少し陰になる側面部、切りそろえられた端面部では白さが違います。
また置いてある床面との境目や、柄の部分との境目など、かなり暗くなっているところもあります。
どうしても細かい部分に目が行ってしまう方は、
- 少し離れてみる。
- 目を細めてみる。
- デジカメやスマホの画面越しに見る。
等の工夫をしてみましょう。
この段階では、すぐにペンで線を描き込んでいくのは我慢してください。完成形をイメージしてからの方がいいです。
鉛筆デッサンなら、あらかじめ暗いところにさっさと調子を入れて暗くしておき、練りゴムで消しながら仕上げていくことができます。しかしペンはそうはいきません。ペンは消すことができません。
最初に描き込みすぎてしまうと、全体のバランスをとった後の完成品が真っ黒、ということにもなりかねません。
鉛筆デッサンは足し算と引き算で仕上げますが、ペン画は足し算だけです。
細部の陰影
毛というものは、とても細い円柱の集まりです。細部の表現がしやすいペンであっても、1本1本忠実に円筒を描くというのは現実的ではありません。
描いてもいいですが、お勧めしませんよ~
実際は線で表現することになりますが、何となく線を引いていては、仕上がり具合も何となく・・・になってしまいます。
ハケらしさを表現するためには、上層部にある毛と、その下にある毛を意識して描き分けてみましょう。
上層部は光が当たりやすいので明るく、その下にある毛は光があたりにくく暗くなります。
線を引くにあたって、
「ここは上になるから明るいところ」
「ここは下になるから暗めに」
と意識し、ある程度ランダムに描き込むことで、実物らしくなります。
また切りそろえられた端面部も同様に考えましょう。端面部は線で表現するよりも点で表現した方がやりやすいですが、線と同様、明るいところと暗いところを意識してランダムに描き込みましょう。
全体と細部のループ
細部を描いたらいったん離れてみて、全体を確認してください。細部を描き込むことで全体とのバランスが変化します。全体を見て変化を確認し、次はどこを描き込むかを決めましょう。
そのように全体と細部を交互に見ながら、完成に近づけていきます。
ただしペンは引き算ができないので、描き込みすぎは禁物です。描き込みすぎを防ぐには、最初の全体を見る段階で、ある程度完成をイメージしておくことが大切です。
イメージするといっても、ペン画を始めたばかりでは難しいです。上手な人の作品を見たり、何枚も描いて失敗することで、身につけることができます。
そう、失敗したっていいんです。失敗を恐れずにチャレンジしましょう。
柄の部分を描く
柄の部分は木製のため、木目があります。木目と同じ向きに線を入れていくだけで、木の質感を表現することができます。
木の種類によっては木目が薄いものもあります。今回のハケの柄もそうですが、よく見ないと木目が見えません。
見えなくても、木目があるつもりで描き込みましょう。
木目がはっきりしているときは、木目の方向に沿って線を入れながら、濃いところと薄いところを交互に表現します。一気に木らしくなりますので、楽しんで表現してください。
金属の部分を描く
ハケを縛って固定している針金があり、これは金属で出来ています。
金属の特徴は明と暗の強いコントラストです。明るいハイライトは紙の白色をそのまま残し、暗いところは暗く表現しましょう。
ハケの針金は面積も狭く、できることは限られています。また別の記事で紹介しますのでお待ちください。
ハケを描くコツは以上となります。では実際に描いてみましょう。
実際に描いてみる
①ペンは修正ができないので、まずは鉛筆でしっかりと下描きをします。
下描きせずに最初からペンで描き始める方もいます。私はそういう描き方はできないのですが、できる人はそういう描き方もいいですね。
②どこからペンを入れ始めるかは人それぞれですが、私は一番暗いところから始めることが多いです。
③文字の部分や金属の部分を追加します。
全体を見て、最初に描き込んだ部分が薄く感じられるため、書き込みを追加して濃くします。
④影の部分は早めに描き込んでおきます。
対象物に夢中になっていると、影を忘れてしまうこともありますが、影を最後にすると、対象物と影とのバランスが不自然になることがあります。
物も影も同じように進めた方がいいでしょう。
⑤毛の部分、柄の部分の質感を描き込んで完成とします。
まとめ
いかがでしたか?
描き方のコツは鉛筆デッサンでもペンでも変わらないのですが、ペンの場合は引き算ができないため、完成形を予想してそれに向けて描き進めていく必要があります。
鉛筆の方がいいとか、ペンの方がいいとかそういうことではありません。どちらも他の画材にはない長所と短所があります。
ペン画には、鉛筆デッサンとはまた違った雰囲気があり、この雰囲気がペン画の魅力のひとつでもあります。
みなさんも一緒に、ペン画の雰囲気を味わいましょう。