【初心者向け】質感の基礎〜ハケのデッサン

絵が上手く描けるようになるには、形をとらえる練習、陰影をとらえる練習が必須ですが、質感をとらえる練習も必要です。


美大・芸大の受験でもお馴染みのハケを、鉛筆デッサンしてみましょう。予備校やスクールでも、必須のモチーフです。




ハケは100均でも売っている、ペンキを塗装したりするときに使うごく普通のありふれたものです。普段から水張りする方は、手元に何本かあるかと思います。

塗りに使う部分は毛で出来ていて、ふさふさです。
柄の部分は木で出来ていて、木特有の優しい手触りです。
他にも固定する金属製の針金もあり、質感を描き分ける練習をすることができます。

特に毛の部分は、初心者にはどう描いたらいいか分からず、途方にくれてしまうかもしれません。この記事ではハケを描くコツを紹介します。最後までご覧いただき、質感を描き分けるコツを身につけましょう。

毛の部分の表現のコツ

①全体の陰影を意識する

ハケといえば毛、1本1本の細かい表情が気になるかもしれませんが、全体の陰影を忘れないように意識しましょう。

下の画像は、まだ描きはじめの段階です。

毛の1本1本を表現するよりも、上面と側面を一つの面としてとらえ、明るさの違いを描いています。


毛を細かく描き込んでいると、つい全体の明暗を忘れていまいます。細かい表現が好きな人は特にそうです。描きはじめの段階でしっかりとらえておきましょう。細かい毛の表現はその後で大丈夫です。

今回のハケのように全体的に明るい色が多い場合は、暗い部分をきっちり暗く描くことで、明るい部分を表現します。

私が美大・芸大受験時によく言われたことが「描いて白くしろ」でした。暗い部分をしっかり描き込んで、明るいところを表現しましょう。


そして細部をある程度描き込んだら、意識して離れて見て、全体の陰影をもう一度確認することが大切です。「細部を描く→全体を描く」のループです。

②細かい毛の表現〜上層と下層の描き分け

毛の部分は、毛と同じ向きに従って線を引きます。陰影をつけるために違う向きに線を入れることもありますが、毛を表す線は同じ向きに揃えて引きます。


単純に線を引くだけでも、ハケの質感を表現することは可能です。しかし実際は、毛というものは線ではなく、非常に細い円筒の集まりです。


円筒は、絵を描く時の3つの基本図形「①円筒」「②立方体」「③球」の一つです。以下の記事でも紹介しました。

【初心者必須】円柱デッサンを練習して絵を上達させよう

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しかし、毛の1本1本を円筒の描き方の基本に従って描くのは大変です。心が折れてしまうかもしれません。絵は楽しんで描くものですし、時間に制限のある美大・芸大受験なら、そんな暇はないはずです。(チャレンジするのは大変面白い試みですが・・)

実際は線を描くことになりますが、上層部と下層部で描き分けることと、側面と断面を絵描き分けることで、より本物らしい質感を表現でき、実在感が増します。




上層部は光が当たりやすいので明るく、下層部になるに従って光が当たりにくくなり暗くなります。また断面は、光が当たる部分と当たりにくい部分が、点状に散らばっています。


明るい部分は、紙の白さを残しておいてもいいですが、練りゴムを使う方が描きやすく、効率的です。ある程度線を描き込んで毛を表現した後、練りゴムの先を細くとがらせ、細く白く抜きます
白く抜いた箇所のすぐ隣に濃く黒い部分を持ってくると、一気に質感がハケらしくなります。目の前で質感が出現しつつある段階は、描いていて楽しいですよ。

上層部は明るく、下層部は暗く、断面部は点状に、を意識して描きましょう。


木目の部分の表現

軸の部分は木製です。木目に沿って線を入れることで、木の質感を表現することができます。


このハケはあまり木目が目立たないタイプですが、木目がはっきりしている木の場合は、意識して表現してみましょう。木目が見えると、一気に木の質感が出てきます。

下の画像は鉛筆でなくペンですが、表現のコツは同じです。

金属の部分の表現

このハケは、縛っている針金が金属で出来ています。表現法を解説するには小さすぎるので、他の回で解説したいと思います。

すみませんが、しばらくお待ちください。

まとめ

いかがでしたか?

毛のフサフサ感は難しそうに見えますが、あまり細部にこだわらず、全体的な陰影を忘れずに線を積み重ねていけば、そんなに難しくはありません。

上記のコツを意識しながら練習して、質感の違いを楽しみましょう。

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