【初心者必須】ペン画がみるみる上達する基本図形3選
ペン画の醍醐味は、複雑な対象物を細密に描き込むことで生まれる世界観にあります。
そうはいっても、いきなり複雑な対象物にチャレンジしても、心が折れてしまいます。絵を描くのが嫌いになってしまう人もいるかもしれません。
ローマは1日にしてならず、千里の道も一歩から、まずは基本図形をペンで描く練習をしましょう。焦ってはいけません。
鉛筆デッサンの記事でも書きましたが、基本図形は3種類あります。
- 立方体
- 円柱
- 球
この記事では、基本図形の描き方を説明しています。最後までご覧いただき、練習をすることで、複雑な対象物を細密に描き込むことができるようになります。
①立方体の描き方
厳密には、立方体と直方体は違うものですが、絵の基本練習としては同じです。
形の捉え方や陰影の捉え方については、ペンでも鉛筆デッサンでも変わりはありません。以下の記事をご覧ください。
鉛筆ではすんなり描けるようになったとしても、いざペンで描こうとすると「どの向きにペンを走らせたらいいの?」と迷ってしまいませんか?
しかも鉛筆とは違い、ペン画は修正ができません。ミスしたら描き直しです。
大丈夫です。練習ですから、気にせずガンガン描いてみましょう。
今回はハッチングの方向を一目で分かりやすくするため、いつも使用している丸ペンではなく、0.1ミリのステッドラーのミリペンで、あえて描き込みを少なめにして描いてみました。ハッチングの方向による印象の違いが分かりますか?
縦のハッチングと横のハッチング、どちらが正解か、ということはありません。描きやすい方向、あなたの絵のスタイルで変わってきます。
例えば、影を描くときのハッチングの方向はポイントになります。
影を水平にした方が、安定感があります。テーブルなどの平らな台の上にしっかり乗っているように見えます。
影を垂直にすると、暗い穴の上に浮いているような、ちょっと現実離れした不思議な感じに見えます。
水平が良くて、垂直はダメというわけではありません。その人の絵のスタイル、表現したい世界観によって、使い分けができるといいですね。
また、ハッチングの方向を面ごとに変えた場合と、同じ方向に揃えた場合では、印象が変わってきます。
これも、どちらが正解でどちらが間違っているわけではありません。使い分けが自然にできるようにするために、練習を積み重ねましょう。
他にも、表現方法はたくさんあります。
①は輪郭のみでハッチングなしです。輪郭だけで表現する技法もありますが、立方体を描く場合は、ちょっと寂しいですね。
②は輪郭線にクロスハッチを組み合わせています。濃いめにしたい場合、クロスハッチはよく使われます。
③は輪郭線なし、ハッチングのみで表現しています。あえて輪郭線を描かないことで、印象がかなり変わります。
④と⑤は斜めのハッチングですが、この場合注意してください。目の錯覚により、実際には平行なはずの線が、平行に見えなくなることがあります。
こういうの、一度は見たことありますよね?
AとBとC、3本の線は平行なんですが、そうは見えません。
斜めのハッチングをする時は、クロスハッチにしたり、補正を加えながら描き進めたり、ちょっとした注意が必要です。
練習すればするほど、自分に合った描き方が見つかり、複雑な図形に応用ができるようになってきます。たくさん練習しましょう
②円柱の描き方
円柱とは、丸い柱です。(そのままじゃん)
形や陰影を正確にとらえるには、手順があります。この手順についてはペン画も鉛筆デッサンも変わりありません。以下に説明していますので、ご覧ください。
側面が丸くなっているので、陰影はグラデーションで表現する必要があります。
一番左は垂直なハッチングです。グラデーションのやり方にもよりますが、缶など金属的な、光沢の強い印象になりやすいです。
二番目の水平は、側面の丸みに合わせてハッチングも丸くしています。綺麗に丸くハッチングを重ねるのは難しく、三番目のつなぎのようにハッチングをつなぎ合わせて描くことが多いでしょう。
こちらもグラデーションのやり方で変わってきますが、石膏やトイレットペーパーなど、光沢感の少ないカタマリのような印象になっています。
四番目はクロスハッチです。色を濃くしたいときはクロスハッチをよく使います。方向やクロスさせる角度で印象は変わります。
最後の、一番右端は点描です。鋳物の肌のような凸凹感は、ハッチングよりも点描の方が向いています。
ハッチングよりも時間がかかるので、気合いを入れる必要があります。
気合だー!
立方体は陰影の境目がはっきりしているので比較的簡単なのですが、円柱になると、側面の陰影はグラデーションを使う必要があり、難易度が上がります。
人物を描くときには、この円柱を組み合わせて描くことが多いですね。人物をたくさん描きたい人は、特に意識して練習しましょう。
③球の描き方
球とは、ボールのような丸い形です。
明暗の境目が全くないので、明暗を全てグラデーションで表現する必要があります。形の捉え方、陰影の捉え方については、以下の記事にまとめてあります。
円筒形と同じように、ハッチングのやり方によって印象が変わります。球面の丸みを表現するには、丸みに沿ったハッチングをした方が分かりやすいです。
人物の頭部を描くときは、まず球として形と陰影を捉え、細部の表現に移っていきます。球の意識をしていないと、平面的な、お面のような頭部になりやすいです。
まとめ
いかがでしたか?
ペン画を描こうとする人は、細密な表現が好きな方が多いかと思います。気をつけておかないと、細部にとらわれて全体を見ることを忘れてしまいがちです。
今回取り扱った基本図形3選は、基本トレーニングだけでなく、全体を見るときにも役立ちます。しっかり練習して、ゆとりある素敵な絵画生活にお役立てください。