初心者向け 揃えておきたいデッサン道具 14選

数十年ペン画を描き続けていますが、それはデッサンという基礎があってのものです。


この記事をご覧の皆様は、おそらく「絵が上手くなりたい」「絵を描き始めたい」という意識を持った方かと思います。




私は芸大を受験する時にたくさん練習しました。その頃の作品は残っていないのですが、あまりの下手さに赤面ものです。誰でも最初は初心者ですから。

デッサンなんて意味がない、いきなり本格的な作品を描き始めたい、と思っている方もいるかもしれません。
ですが、どんな道も基礎があってもの。イチローさんや大谷さんだって、最初は初心者。地道な素振りを何回もやってきたはずです。




ではデッサンを始めるには、まず何を用意すればいいか?

これから紹介していきます。最後まで読んでいただき、絵を描く豊かな生活を始めましょう。

デッサンとは?

「デッサン」という単語は英語ではなくフランス語で、「線を引く」をいう意味です。


鉛筆や木炭を使って、モチーフの形や明暗を正確にとらえ、白黒で紙に描くことを言います。日本では形や明暗をとらえ表現する練習として扱われ、絵やイラストの専門学校や、美大・芸大受験のための予備校・スクールでも必ず課題として練習します。

描く対象は主に3種類あります。

  • 静物デッサン
    ガラスのコップや、リンゴやオレンジなどの果物、柔らかい布など、対象はさまざまです。美大・芸大受験にも出題されます。
  • 石膏デッサン
    石膏像です。ブルータスとか、ガッタメラータとか、ヘルメスとか、色々な名前がついています。名前がついていると、愛着湧くかも。
    こちらも受験によく出題されます。
  • 人物デッサン
    実物のモデルさんを描きます。ヌードだったり、服を着ていたりしますが、どちらも難しいです。デッサン力不足の場合、出来栄えにモロに現れます。

その他として、風景画のデッサン等もあります。

デッサンに必要な道具 必須7選

必須①目的意識

道具じゃないけど・・・。

「なぜデッサンをするのか」という目的意識が大切です。

デッサンは地道な練習です。地道にコツコツ積み重ねることで上達に結びつきます。

地道にコツコツって、難しいです。勉強も、スポーツも、ダイエットも・・・。途中で面倒になって「まあいいか・・・」って経験、ありませんか?

私にはたくさんあります・・・。




理由は何でもいいです。

  • 芸大・美大を受験したいから
  • 絵が上手くなりたいから
  • キャラを上手に描きたいから
  • 画家・イラストレーターになりたいから
  • 周りから褒められたいから


途中でモチベーションが下がった時のために、明確な目標があるといいです。私は芸大受験のために始めました。

必須②鉛筆

目的意識を持ったら、 鉛筆です。
油彩や彫刻で芸大を狙う方は木炭デッサンが主流になりますが、日常的に絵を描くとなると、鉛筆の方が向いています。


色々なメーカーから発売されていて、どれにしようか迷ってしまうかも知れません。とりあえず、三菱のUNI(ユニ)を選んでおけば間違いありません。描きやすくて値段もお値打ちです。

メーカー別の鉛筆の特徴はこちらに紹介してあります。

デッサンに最適な道具の選び方 鉛筆編

ペン画を描くにしても、油絵やアクリル・水彩など他の技法で絵を描くにしても、その基礎となるデッサンがおろそかでは、満足する絵を描くのは難しいです。 デッサンを練習…

芯の濃さは、4B・2B・B・HB・H・2Hがあれば大丈夫です。デッサンに慣れてきて、追加したくなったら追加しましょう。

使っているうちに短くなってきます。あまり短くなると使いにくいので、ホルダーも用意しておきましょう。まだ使えるのに捨ててしまうのはもったいないです。

必須③消しゴム

通常のプラスチック消しゴムでも良いのですが、デッサンでは練りゴムを使うことが普通です。


紙を傷めにくいだけでなく、描き込んだ調子を薄くしたり、細部を調整したりするのにも使います。

もちろん通常のプラスチック消しゴムも使います。用途によって使い分けをしましょう。

必須④紙

ペン画を描くには表面の滑らかなケント紙がベストですが、デッサンをするにはある程度凹凸があって鉛筆の乗りやすい画用紙が向いています。

大きさは、木炭紙大(500×650ミリ)や四つ切り(545×393)が良いでしょう。芸大受験で使われる一般的なサイズです。



別に受験するわけでは・・・と思う方もいるかもしれませんが。

絵というのは、ある程度大きい絵を描くようにした方が上達は早いです。手のひらサイズのような小さい絵でも勉強にはなりますが、大きい絵を描くことで、構図のとり方や全体のまとめ方など、小さい絵では分からないことが分かるようになります。

必須⑤モチーフ(描く対象

ペットボトル、りんご、トイレットペーパー、何でもいいです。自宅にあるもので十分です。


できれば、柔らかな素材、硬い素材、なめらかな素材、凸凹な素材、色々なバリエーションがあった方が上達は早いです。

最初のうちは、ネットで検索した画像を使うのはやめておきましょう。立体感を3Dでとらえたり、素材の感触を触って確認したり、そういう作業ができません。
経験の浅い方はピンとこないかも知れませんが、実物を見て描く、あるいは手にとってみる、という作業は、絵を描くうえでとても重要です。

必須⑥カッターナイフ

鉛筆を削るのに使います。


カッターナイフは大きくても小さくても何でも構いませんが、手のひらに収まってしまうくらいの小さいものは削りにくいのでやめておきましょう。

鉛筆削りを使うんじゃないの?と思う人もいるかも知れません。デッサンで鉛筆を使う時は、芯を長めに削り出します。


鉛筆削りではこういう削り方はできません。実際の削り方は、以下にまとめてありますのでご覧ください。

鉛筆の削り方

Contents鉛筆デッサンを始めるにあたって削り方①紙を敷き、道具を準備する。②利き手にカッターナイフを持ち、刃を出す。③反対側の手に鉛筆を持つ。④頂点部分から削り始め…

 

必須⑦羽根ぼうき

紙面上の消しカスやホコリを払うのに使います。

手でやると、指先の油分がついてしまったり、せっかく描いた鉛筆の調子が擦れて台無しになってしまうことがあります。

羽根ぼうき自体が汚れないよう、大切に扱いましょう。

デッサンに必要なもの 応用7選

ここからは、なくてもできますが、あったら便利、時間短縮できる、表現が広がる、スグレモノです。

応用①ティッシュ

鉛筆で描いた調子をぼかしたいときに使います。羽根ぼうきの時にも書きましたが、手で擦ると手の皮脂で収集がつかなくなる事もあります。

応用②布、紙

モチーフの下に敷く、白い布または白い紙です。下が白い方が、影がよく見えます。
背景がごちゃごちゃして描きにくい時は、白い紙をバックにして描きやすくしましょう

応用③鉛筆ケース

デッサン用の鉛筆は消耗品です。よく使う濃さの鉛筆は、ある程度たくさん用意しておく必要があります。普通のケースでは入りきらないことも多いので、少し大きめのケースを用意しておきましょう。

使いたい濃さの鉛筆がすぐ取り出せるように、濃いめ/中間/薄めと仕切りを作って分けておくと便利です。

外出時も携帯できるようにしておくと、風景画のデッサンにも使えます。デッサン削りは先が細いため、折れないように保護をしておきましょう。

応用④カルトン

画板として使います。

画板なんてなくても、机の上に紙を置けば描けるじゃん!って思いますが・・・。



カルトンを使って、図のような姿勢で紙を正面から見ないと、パースがついて正しい形をとらえにくくなります。

正面から見たりんご。


パースができてしまう。



また外に出て風景デッサンをする時は、通常、机はありません。私が愛知芸大を受験したときは、静物デッサンの課題が、外に出て自由に風景画を描いてこいというものでした。

愛知芸大受験

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 大きくて平らな硬めの板があれば、カルトンでなくてもいいのですが、カルトンは2枚の板の間に作品を入れ、平らなまま持ち運ぶことができます。

ただし、カルトン自体には持ち手がありません。カルトンを入れて持ち運ぶためのバッグもあれば、電車にも持ち込むことができます。

受験生時代を振り返ると、毎週持ち運ぶカルトンの大きさが、満員電車の中でかなり迷惑だったかも・・。今ではカルトンを持ち運んでいる人を見ると、頑張れ!と思ってしまいます。

応用⑤クリップ

紙をカルトンに固定するのに使用します。事務用の目玉クリップやダブルクリップで構いませんが、カルトンごと挟み込んで固定するので、大きいサイズにしましょう。

応用⑥フィキサチーフ

描いた絵を紙面に固定するのに使用します。鉛筆や木炭で描いた絵は、手で擦ると台無しになってしまいます。手で擦らなくても、カルトンに挟み込んで持ち運ぶだけで、しっかり描きこんだ調子がぼやけてしまう事もあります。
デッサンを完成させたらフィキサチーフをスプレーして、紙面に定着させましょう。




受験生時代、知人の先生のアトリエで練習したデッサンを絵画教室に持ち込んだところ、先生に「フィキサチーフかけてないだろ。」と言われたことがあります。


応用⑦光源

卓上のライトです。


光源がはっきりしていた方が、陰影を描く練習をしやすいです。天井の照明でもいいのですが、天井の照明は移動できないので、「もう少しこっちから光を当てたい」というような時に困ります。

窓からの光は時間によって方向が変わってしまうので、あまりよろしくありません。遮光カーテンを使って、外の光は遮った方がいいです。

私が通っていた絵画教室では、昼も夜も24時間、分厚いカーテンを閉めていました。

その他 お好みで

イーゼル

大きなモチーフや大きな紙で描く時には、カルトンをイーゼルに置いて描きます。絵画教室や受験の時は、イーゼルを使うのが普通です。


自宅でも使いたいという人は、使ってみてください。大きなものは場所をとりますが、両手をより自由に使ってデッサンをすることができる用になります。

石膏像

デッサンには、ビンや布のような静物だけでなく、石膏像を描く石膏デッサンもあります。静物に比べるとさまざまな技法を駆使する必要があり、難易度が高いです。

ビーナス、マルス、ガッタメラータ・・・絵を描く人なら思い浮かぶはずです。

私の先輩はかつて、車の助手席に石膏像(何の像だったかは忘れました)を置いてシートベルトをしめ、高速道路に乗ろうとして、料金所で係員にびっくりされたそうです。まだETCのない頃のことです。

かなり値段も高いのですが、お値打ちなミニチュア版もあります。かなり勉強になりますので、お好みで挑戦してみるのもよいでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

デッサンで使うものは、高価なものは少ないです。絵が上手くなりたいと思っている人は、早速揃えて、まずは始めてみましょう。

千里の道も何とやら、何事も基本が大切です。

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