卒業制作・卒業論文

アトリエ松竹梅物語、前回は教育実習を取り上げました。今回は、卒業論文卒業制作についてお話しします。

卒業論文

他の学部同様、卒業論文を仕上げて提出し、合格しないと卒業できません。



しかしその頃の私は、文章をまとめることは苦手で、A4のレポート1枚提出するのも苦労していました。卒業論文なんて、原稿用紙数十枚分もあります。

できるのか?



どう進めたらいいか担当の先生と相談し、何とかテーマを決め、図書館にこもったり、論文に差し込む画像を撮影したりして、何とかそれっぽい下書きを書き上げました。



当時はパソコン持っている人なんて、ごく一部情報処理系の学部にいる人で、それ以外はワープロを持っている人がたまにいる程度でした。当然私はパソコンもワープロもなかったので、たまたま持っていた後輩にお願いして借用し、慣れないキーボードに悪戦苦闘して入力し、原稿用紙にプリントアウトしました。


時は卒業間近の1月、手書きの下書きを見ながら3日間くらい自宅にこもり、ひたすらカタカタやっていました。





今振り返ると、論旨も内容もめちゃくちゃだったと思います。担当の先生からも

「論文になっていないよ」

と言われました。それでも突き返されることもなく、やり直しを命じられることもなく・・・





何とか通過しました!よかった!




やれやれだぜ・・。

卒業制作

実は、卒業論文はどちらかというとおまけみたいなもので、支離滅裂な私のエセ論文でも通過できてしまうくらいの扱いでした。

大学生活の集大成として力を入れるのは、卒業制作です。 3年次の授業でデザインのスキルを上げておき、担当の先生とも相談しながら卒業制作のテーマを決め、それを形にしていくのです。




周りのみんなは大したもので、普段の課題の制作から、カッコイイ作品を作っている人が多かったです。
そんなみんなに比べると、私のスキルは、まだまだ素人に毛の生えた程度でした。






同じ土俵に入ってしまうと、どうしても見劣りしてしまうし、3年次の授業ではイラストの課題が最も好成績だったこともあり、イラストをメインにしてそれに少しだけデザインの要素を入れることにしました。

デザインの作品とは違うかも知れませんが、視覚伝達デザインという専攻は、結構何でもありな専攻でしたので、これでいいのです。




制作も佳境に入ると

周りのみんなには、絵が描けるってすごいね〜的な言葉をくれる方もいましたが、私から見たら、デザインができるというのはもっとすごいのになと思っていました。





卒業制作の提出は確か、10月とか11月とか、そのくらいの時期だったと記憶しています。提出前の数ヶ月は、修羅場でした。

3年時の時から、制作場所は自宅ではなく大学です。皆さん集まって昼も夜も関係なく進めていました。2〜3日自宅に戻っていないとか、何日も寝ていないというのも普通でした。


私もみんなと同様時間におわれていました。

→ 3日くらい寝ていない

 → けど全然眠くならない。

  → なんだか怖くなってくる。おかしくなったかも?

   → 一旦自宅に戻って無理やり寝る、



なんてこともありました。それでも3時間くらい寝るとまた起きてしまい、再び大学へ行きまた続きを始める、そんな感じでした。





そういえば、当時の大学は24時間空いていて、出入りも自由でした。今はどうなのかな?





各自のデスクがある控室には、仮眠用のベッド(単なるベンチシートと毛布でしたが)があり、皆さん疲れて集中力がなくなってくるとそこで仮眠したりしていました。

当時は(今もそうらしいですが)女性の方が圧倒的に多く、男性は少数派でした、男性よりも女性の方が環境順応能力が高く、グースカ寝ていることが多かったです。






大学4年生といえば、21歳とか、22歳とか、そのくらいのお年頃です。

他の大学生や社会人なら、綺麗にお化粧して、オサレな服を着て、異性を意識した振る舞いをする方が多いのでしょうが、ここは芸術家の卵が集まる芸術専門学群。



皆さんほぼスッピン。

髪はボサボサまとめて縛る程度。

インクや薬品で手はいつも汚れている。

服装も汚れても構わないボロボロの服。

そして寝顔をさらしている。

食事はほかほか弁当コンビニ弁当ばかり。

たまに化粧してパリッとしてくる時は、就職活動の合間に現れた時。

そんな生活でした。






一応補足しておきますが、全員がそうだったという訳ではありませんよ。




そんな状態で、1日の大半を一緒に過ごしていると、仲間意識が強まります。戦友って感じでした、締め切りギリギリまでみんなあたふたやっていました。





アナログ手法を駆使していると、時間がかかるのはもちろんですが、完成形がなかなか見えてきません。

版下を見ても、リスフィルムを見ても、写植の文字写真画像を見ても、完成形は本人の頭の中にあるだけで、他の人には見えにくいのです。 印刷が完了し、印刷後の組立てや仕上げを終わらせて初めて、作品として認識できるようになります。






間に合うかどうか、時間に追われながら不安に苛まれながら作業していましたが、なんとかみんな締め切り前に完成しました。

やった〜!できた!





みなさんの完成品を見た時は、さすがの出来栄えだと思いました。なんちゃってデザイナーの私とはモノが違うなと感じました。






私も何とか締め切りに間に合わせ、達成感を味わいながら自宅に戻って寝た時は、死んだように14時間くらい寝ていました。起床して時計を見て、うっすら明るい外の景色を見て、

「朝?夕方?」



寝起きということもあり、今が朝なのか夕方なのか分かりませんでした。




制作を終えて

例年、卒業制作はそんな感じだと思います。だから、卒業論文がある程度いい加減でも許されました。
後日担当の先生と話した時に聞いたのですが、卒論はよほどひどくなければ大体OK出してるそうです。(今もそうかは分かりませんよ)

その分制作を頑張れ、とのことでした。




今の世の中、働き方改革とか、コンプライアンスとか、ブラック企業とか、色々問題だと騒がれています。

達成感というのは、その前の大変さがないと味わうことができません。大変さから逃げていては、経験できないものです。

皆さんもぜひ、大変さから逃げずに、達成感を味わってみてください。その後の人生の大きな財産になります。







ただしどこまで頑張れるか、の線引きはきちんとしておきましょう。耐えられないような大変さ、精神が壊れてしまうくらいの大変さは、さっさと逃げることです。




逃げるは恥だが役にたつのです。(星野源?)



前回のお話

教育実習

アトリエ松竹梅物語、今回は教育実習についてです。 大学4年ともなると、これまでにない4年次ならではの独特なカリキュラムが出てきます。そのうちの一つが、教育実習です…

続きのお話

卒業に向けて〜卒業制作展

アトリエ松竹梅物語、大学時代の一番の山である卒業制作が終わった後です。 卒業制作が終われば、あとは卒業を待つばかり、お別れする友人や後輩たちと飲み会したり、卒業…

 

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