【初心者必須】円柱デッサンを練習して絵を上達させよう
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円柱デッサンとは?
デッサンの基礎を学ぶ際に最も効果的な題材の一つが円柱です。
その前に、これからデッサンを練習して絵を上達させるための全体像をおさらいします。
デッサン力向上は、3つの基礎から成り立っています。
この3つの基礎のうち①と②を練習するために有効なのは、3種類の形です。
つまり、丸・四角・球を練習しておけば、形をとらえることはできるようになるわけです。
そして②番目・明暗をとらえることの練習も、丸・四角・球で可能です。
③番目・質感をとらえることの練習は、それとは別に、いろいろな素材を描く練習をする必要があります。
丸とは言ってもいろいろありますが、デッサンでは円柱を指します。円柱は単純な形状ながら、立体感や陰影の理解を深めるのに役立ちます。初心者でも比較的簡単に始められるため、多くの予備校やアートスクール・教本で、最初の練習題材として採用されています。
四角い形状としては、立方体(直方体)があります。これについては、以下の記事をご覧ください。
球については、以下の記事をご覧ください。
この記事を最後まで読んでいただければ、円柱を極めるにはどうしたらよいかが分かります。是非最後までご覧ください。
必要な道具と準備:円柱デッサンを描くための基本セット
円柱デッサンを始めるにあたって、必要な道具は以下の通りです。
- 鉛筆
2H、HB、2B、4B、6Bなど、硬さの異なる鉛筆を用意しましょう。デッサン用の木炭でもよいです。デッサンは何度も修正を繰り返して完成させていくものなので、修正の効かないペンは使わない方がよいでしょう。 - 消しゴム
練り消しゴムがおすすめです。消しカスが出ず、紙の表面を傷めにくいです。 - 紙
ペン画を描く場合は表面の滑らかなケント紙がおすすめですが、デッサンを描く場合は、表面の凸凹に黒鉛がのりやすい、画用紙の方が描きやすいです。
円柱の描き方
それでは実際に円柱を描いていきます。円柱がない場合は、形が単純な缶やビン、ペットボトルなどを代用してもいいでしょう。
ステップ1:中心線を引く
まずは円柱全体の中心線と、上面の円・底面の円の中心線をひきます。このとき、定規は使いません。
初心者の方はフリーハンドで真っ直ぐ線を引くのが難しいかもしれません。練りゴムで修正を繰り返しながら、真っ直ぐにしましょう。
ステップ2:楕円の横の印をつける
上面の円・底面の円の左右に目印をつけます。当然ですが左右等しい位置につけておかないと、正確な円柱になりません。
左右等しいかどうかを確認するには、目印があった方が良いです。私はよく紙の切れ端に印をつけて、以下のように確認しています。
線を引くときに定規を使うのは禁物ですが、長さの確認のために使うのは問題ありません。ぱっと見て同じ長さだと思っても、意外とズレていたりするものです。
完成に近づいてから気がついたら、修正するのは大変です。この段階でしっかり確認しましょう。
ステップ3:楕円の縦の印をつける
左右の印をつけたら、次は上下の印をつけます。このとき以下の点を注意しておくと、完成後の見た目の自然さが段違いで変わってきます。
注意点1:図のA・B・C・Dの長さは、必ずAよりもBを長く、そしてCよりもDを長くする。
これは遠近法により、遠くのものは小さく、近くのものは大きく見えるからです。Bは上面の手前側のため、奥側のAよりも長くなります。CとDについても同様です。
このとき、Cは円柱の側面に隠れるので見えないはずでは?と思う方もいるかもしれません。
確かに見えないのですが、見えない部分も描くのがデッサンの基本です。見えないCを描くことで、Dも正確に描くことが出来ます。
ある程度Dが決まってきた段階で、見えないCは消します。
遠近法の他にもう一つ意識しておきたいのが・・・
注意点2:AよりもCを長く、BよりもDを長くします。
それは何故か?
通常、円柱のような静物を見るとき、人間の視点は上からになることが普通です。下から見上げるような視点で描くことは滅多にありません。
すると、上の方の円ほど薄い楕円に、下の方の円ほど正円に近い楕円に見えます。
そのため、Aよりも下にあるCを長めにします。BとDについても同様です。
ではBとCはどちらを長くしたらいいか?
これについては円柱の長さや視点の位置など状況にもよるので、なんとも言えません。
長くするのはいいが、どの程度長くしたらいいか?
上の例は練習用のため、長さの違いを強調して描いています。実際はもう少し控えめで良いでしょう。見る角度や対象物までの距離によっても変わってきます。実物をよく見て、長さを決めましょう。
鉛筆を定規がわりに使うと、長さの違いが分かりやすくなります。
このステップ1〜3は円柱の基本です。私が受験対策のためにデッサンの練習を始めたとき、この基本を知らなくて、いきなり下のステップ4から描き始めていました。
当然正確に描けるわけがありません。自分ではバッチリ描けたつもりでも、先生からは「丸くない」と酷評でした。
こんな感じでした。
絵が上手くなりたい人は、必ずこの基本を練習しましょう。上級者でも、円柱を描くときはこの基本に従って描いている人が多いです。
ステップ4:楕円を描く
ステップ2と3でつけた印をつないで、楕円にします。このとき注意したいのは、楕円の端の表現です。
楕円の左右の長径の部分は、必ず長径と直角に交わります。どんなに細い楕円であっても、この基本は守るようにしてください。この基本が守られていないと、唇のような楕円になってしまい、不自然に見えます。
ステップ5:光の方向を意識し、陰影をつける
ここからは、3つの基礎のうち②番目の、明暗をとらえる練習となります。
今回は左上を光源にしていますが、どこでも良いです。左上にすると、自然に、右側は影となり、暗くなります。
上面が一番明るくなりますが、一番明るい面にも鉛筆の調子を入れていきます。
私が受験生時代によく言われたのが、「描いて白くしろ」でした。白くて明るいから何も描き入れず紙の白のままにしておくと、描き込み不足になりやすいです。
一番暗くなるのは右側ですが、右端は少し明るくします。それは何故か?
光というものは光源からくる光だけではなく、反射光というものがあります。壁や床、家具等から反射してきた光です。この反射光の影響で、少し明るく見えるのです。
全体の中で一番明るくするのは、上面です。直接光が当たるからです。(上図オレンジ部)
側面の左側も光が当たるので明るくなりますが、上面に比べると若干暗めになります。(上図青色部)
側面の右側は暗くなりますが、赤色部は反射光の影響で少し明るくなっています。
集中して描いていると、どうしても近くからの目線ばかりになりがちです。
上面だけ上面だけしか見ていない、
側面の左側しか見ていない、
側面の右側しか見ていない、
床面しか見ていない、
描いてみたけど、なんだかおかしい、違和感がある・・・。そんな時は、
意識的に少し離れてみて、全体を確認しましょう。
意外とオススメ!全体確認法
スマホやデジカメで撮影して画面で確認してみましょう。全体がよく分かるだけでなく、SNSでアップする際の印象も確認できます。
練習に疲れてきたら:モチベーション維持方法
練習を継続するためのモチベーション維持方法として、以下のポイントを実践してみてください。
目標を設定する
1ヶ月後に特定の技術を習得するとか、誰かに見せるとか、SNSにあげるとか、何か目標があるとモチベーションの維持に役立ちます。
成果を記録する
描いた作品は必ず保存しておきましょう。
なぜ保存しておくことがモチベーション維持に役立つのか?
自分の成長が見えるんです。1ヶ月前のデッサン、数ヶ月前のデッサン、1年前のデッサン、比べてみると自分の成長がはっきり見えます。通ってきた道、登ってきた道を振り返ることは、モチベーション維持に大きく役立ちます。
上手くなってきたなぁ、って思えたら、それだけでやる気出るものです。
アートコミュニティに参加する
一人で黙々と取り組むのもいいのですが、同じ目的を持つ仲間やライバルがいた方が、やる気が出ることが多いです。
いきなり絵画教室に通うのは敷居が高いと感じるかもしれませんが、たいていは最初に無料体験があるはずです。まずはやってみて、自分に合うか合わないかを確認するのがよいです。
最近ではオンラインの絵画教室もあります。世界中どこにいてもネット環境があれば参加できるので、有名な画家さんとか、憧れの作家さんとか、教えてもらう事もできます。
SNSでも、絵を描いている人のコミュニティがたくさんあります。上手い人もたくさんいます。いい刺激になり、そこからモチベーションが生まれてきます。
展覧会・公募展・個展を見に行く
上手い人が描いた作品を一度にたくさん見ることが出来ます。ネット上では分かりにくい、細かな表現技法もよく分かります。
実際に描いた人が在廊していることもあり、直接話を聞くこともできます。
ただし、あまりに上手い人がてんこ盛りの展覧会に行くと、くじけてしまうこともあるので注意しましょう。私はかつて白日会を見に行ったとき、見ず知らずの高校生2人が「くじけちゃだめだ!気をしっかり持つんだ!」と励まし合っていました。
その気持ち、分かるよ。白日会には、写真を超えるほど写実的で細密な作品が山のようにあります。
まとめ
いかがでしたか?今回紹介したことは、ペン画に限らず全ての技能に言えることです。
注意深く観察することで絵は上達しますが、それだけでは時間がかかります。
今回紹介した技術・理論を意識して練習すれば、上達速度は大幅に上がります。上達すると周りの反応も変わってくるし、絵を描くことがどんどん楽しくなります。
みんなで楽しい絵画ライフを堪能しましょう。