ペン画:もし間違えたら?
個展の時など、よく質問されるのが、
「もし線がぐにゃっと曲がったら?」
「もし線がブルブル震えてしまったら?」
「もし間違えてしまったら?」
気合い入れて描いているときに、「やらかしてしまった!」
あなたなら、どうしますか?
初心者の方で悩まされている方は、参考にしてみてください
線がブレる原因と対策
線がブレる原因は、手の震えにあります。ではなぜ手が震えてしまうのか?
- 姿勢が悪い
- 固定する関節、動かす関節が間違っている
- 緊張している
姿勢を整え、リラックスして深呼吸をすることで、手の震えを軽減できます。
また短いストロークで線を引くときは指の関節を動かし、ストロークが長くなるときは手首の関節を動かし、もっと長くなるときはヒジの関節を動かします。まだ慣れていないうちは、どの関節を固定しどの関節を動かすのかを意識するようにしましょう。
ただ、多少の震えは気にしないようにすることです。定規で引いたようなまっすぐな線は、ペン画作品として面白みに欠けます。少しの震えも嫌な人は、ペン画のようなアナログ手法ではなく、デジタルで絵を描く方が向いています。
一定の線を引くにはどうしたらいいか
一定の線を引くためには、一定のリズムで手を動かすことが重要です。一定のリズムで描かれたハッチングは見ていて気持ちいいですが、これができるようになるには練習あるのみです。
逆にいうと、練習すれば誰でもできるようになります。
練習を積んだ人でも、1日の始まりや、食事などの休憩後は手がペンに馴染みません。いらない紙の端に捨てハッチングをして手を馴染ませています。
日々の積み重ねが大切なのです。
もし間違えたら、消すことはできるのか?リカバリーは?
フリクションのボールペンなら消すことはできますが、そもそもフリクションインクは長期保存に向かないのでおすすめできません。
油彩画やアクリル画なら上から塗り重ねて隠すことができますが、ペン画ではそうはいきません。消すことも隠すこともできません。ではもし間違えてしまったら?
まずは、深呼吸して落ち着いてください。一旦その場を離れ、お茶やコーヒを飲むのもいいですね。慌てた状態のまま何とかしようとすると、たいていは余計傷口を広げることになります。
リカバリー①消す
間違えた線を消す方法としては、
- 砂消しゴムで消す。
- 白い絵の具や修正液で上から塗りつぶす。
この2つの方法が考えられます。実際、私もやってみたことはあります。
しかし紙にダメージを与えたり、修正後にペンを入れにくくなったり、上手くいったと思っても、少し離れて全体を見ると修正した箇所だけ目立ってしまったり、そんな感じになってしまいます。
そのため私はもうあまりやりません。
では、どうするか?
リカバリー②消さずごまかす
- 上からペンで描き加えてごまかす。
間違えたところは潔くあきらめ、それを生かして次につなげていきます。いつでもできるわけではありませんが、私がよく使うのはこの方法です。
ごまかす手段としては、
- 線を太くする。
- 塗りつぶしたり、濃いハッチングをかけて目立たなくする。
- 間違えた線を、別のアイテムを構成する線に変更する。
の3つを検討します。いつもできるとは限りませんが、私がやるのはこの方法です。ちょっとした間違いなんて、よくあることです。気にしないようにしましょう。
リカバリー③他の方法
- 切りはりする
以前一度だけやったことがあります。
四六判全判の大作を制作中にインクをこぼしてしまい、もはや描き直すしかないかと思われた時にやりました。
普通に切り貼りすると切断した部分の線が見えてしまうので、ちょうどペンで描いた輪郭線に沿って切り、はり替えました。
その結果、言われてみないと分からないどころか、言われて見ても分からない、我ながら見事な修正でした。
しかし、もうやりたくはありませんね。
あと、最終手段として
- 最初から描き直す
精神的ダメージは大きいので、できればやりたくないですが、実は一番品質の高い修正方法です。
おわりに
今回は、線がブレないようにする方法、ミスした時の修正方法・リカバリーについて解説しました。
人間は完全ではありません。ミスするのは当然です。私も何度もミスをしています。そのミスを取り消すのではなく、ミスを活かせるよう、心の余裕を持っておきたいですね。