簡単に始めるペン画:線の描き方
ペンで作品を制作している人はたくさんいて、ネットで検索すると見ることができます。ペン画初心者の方にとっては、驚くような技量を持った方もたくさんいます。
あんなに上手に、かっこいいペン画を描くには、どうしたらいいのでしょう?どんな練習を積んだらいいのでしょう?
もちろん努力は必要ですが、できるだけ最短距離で上手くなりたいものです。
アトリエ松竹梅には、ズブの素人さんがかっこいいペン画を描けるようになるその過程を紹介しています。みなさん、一緒にペン画の世界に浸りましょう。
Contents
ペン画を始める前に知っておきたい基本
ペンの種類と選び方
ペン画を始めるためには、まず適切なペンを選ぶことが重要です。ボールペン、ミリペン、つけペン、万年筆などあります。以下のリンクで解説していますので、参考にしてみてください。
ペンの持ち方と姿勢
ペンの持ち方と姿勢も、きれいな線を引くためには欠かせません。リラックスして自然な姿勢を保ち、軽く握ることが大切です。
そしてできれば、イスに座って机やテーブルで描くのが楽です。
私がペン画を描き始めた頃は、正座したり胡座して低い座卓で描いていましたが、ペン画は時間をかけて緻密に仕上げていく作業です。長時間の正座や胡座が苦にならない人は良いのですが、私にはしんどい姿勢でした。
しんどい姿勢では、集中力は続きません。無理のない姿勢で集中力を保ちましょう。
基本の線の描き方
ペン画の道具はシンプルです。自分に合っているかそうでないかだけ気をつけていれば大丈夫です。
ペン画が上手なるか伸び悩むかは、描く人の技量が大きいです。技量を伸ばすには、どうしたらいいのか?
線を引く目的は3つ
ペンは筆とは違い、塗るという作業はありません。線を引く作業の組み合わせです。
たくさんの線のバリエーションがありますが、その目的は大きく分けると3つです。
- 輪郭線を引く アウトライン
- 面を表現する ハッチング
- 陰影を表現する さらにハッチング
人によって線の使い方はさまざまですが、上記3種類をきちんと使い分ける必要はありません。
面を表現しながら陰影に移行したり、いきなり陰影から書き込み始めて輪郭線を描かなかったり、好きなように描きましょう。
「こうしないといけない」というルールはありません。表現は自由です。
線の練習方法
以下で紹介する練習方法は、上記3種類「輪郭線」「面」「陰影」全てに当てはまるものです。コツコツ練習に取り組みましょう。
①まずは自由に
ノートでもコピー用紙でも、何でも構いません。自由に線を描いてみましょう。
ペンと手をなじませるのが目的です。私もよく、その日の描き始めに、いらない紙にシャシャと描いています。向きとか、長さとか、意識する必要はありません。自由に描きましょう。
慣れていない人でも、5分も描いていると、自然にペンが馴染んでくるでしょう。
これができれば、ペン画必須の技法である「ハッチング」ができたことになります。奥深いペン画の世界に、あなたも足を踏み入れたことになります。
一歩ずつ練習を進めて、上達を目指しましょう!
②範囲を決めて線を引く
ハッチングができたところで、次はそのハッチングをコントロールする練習をしましょう。
ペンを入れるスタートと、ペンを抜くゴールを決めて、線を引く練習です。以下のような練習を、紙を線で埋め尽くすような感覚で繰り返し行いながら、ペンの種類や持ち方などを試してみましょう。
まずは鉛筆などでスタートとゴールの補助線を引き、横に線を引きます。
やってみると分かりますが、スタートとゴールをピッタリ補助線に合わせることはできません。多少ずれますが、気にしないようにしましょう。
また定規は使わないようにしましょう。使ったとしても、最初に鉛筆で引く補助線程度にしましょう。
人間はマシーンではありません。人間の手による自然なズレ、自然な揺らぎは、ペン画の味になります。定規を使用した機械的は線は、面白みがありません。
横だけでなく、縦方向も練習しましょう。
斜め方向も練習しましょう。
点線や破線の練習もしておきましょう。
練習してみると、横線が右上がりになりやすいとか、縦線が傾きやすいとか、直線が湾曲しやすいとか、その人のクセが見つかるはずです。そのままにしておくのもいいのですが、やはり狙った線が描けないとストレスになったりします。ある程度狙った線が描けるよう、練習を繰り返しましょう。
線が湾曲しやすい人は、ペンが寝た状態で描いている人に多いです。ペンを立て気味にして描いてみてください。
上図の赤い状態では、線が湾曲しやすいです。直線が曲がりやすいという方は、青い状態を意識してみてください。
③長い線を引く
私がペン画を描く時には、長い線を引くことはほぼありません。短い線をつなぎ合わせて長い線にしています。
上:長い線を引いたもの 下:短い線をつないで長くしたもの
ですが、練習として長い線を引いてみることはあります。その時は、指や手首は固定し、肘より上を動かすと安定します。
赤い部分:指の関節。短い線を描く時。通常はここを動かします。
オレンジ:手首の関節。少し長めに線を描く時は、赤い部分は固定し、手首の関節を動かします。
緑:肘の関節。もっと長い線を描く時は、指も手首も固定し、肘を動かします。
思うように線が描けない時は、ペンや体の使い方を修正するだけでうまくできるようになることが多いです。
④曲線を引く
ペン画で使う線は、直線ばかりではありません。曲線も使用します。
直線はペンを立て気味にして描くのが描きやすいですが、曲線は寝かせ気味にして描きましょう。
⑤線に変化をつける
線にはいろいろなバリエーションがあります。思いついたものはすぐに試してみましょう。
他の人が描いたペン画を練習として模写すると、線の多様さを実感します。
模写をするときは練習用としてください。くれぐれも自分の作品として世に出したり、SNSにあげたりすることは控えましょう。
⑥線に強弱をつける
ミリペンやボールペンではこの練習はできないですが、つけペンを使用している場合は、筆圧を変えることで線に強弱をつけることができます。
継続して練習するコツ
毎日少しずつ練習することで、スキルが向上します。1日5分とか、10分だけでも、効果はあります。
ノートやスケッチブックに日々の練習記録をつけるようにすると、後から振り返ることができ、成長具合を確認できます。
成長の足跡が確認できると、自然と今後の練習のためのモチベーションにつながります。
また練習をするときは、集中を妨げる音楽やテレビ、動画等はつけていない方が良いです。音楽をかけるなら歌詞のないものや、意味のわからない外国語の歌なら、集中力を妨げにくいです。
勉強と一緒ですね。
まとめ
今回は単純な線を描く練習法について、順を追って解説しました。線を積み重ねて陰影を表現する練習については、次回説明します。
単純ですが、線を描くだけでなく、姿勢やペンの持ち方、力を入れるところ、動かすところ、固定するところ、色々なところを意識して取り組むようにしましょう。
ペン画の基本的なテクニックを習得することで、線を引くスキルが向上し、よりきれいで安定した線が描けるようになります。
自信を持って描き始めることができるよう、ぜひ、継続して練習を続けてください。
千里の道も一歩から、ローマは1日にしてならず、絵の上達は才能ではなく継続した努力です。