おすすめのペン画ツール ペン軸・インク編
つけペンでペン画を描こうとした場合、ペン先だけでは絵を描くことも字を書くこともできません。
ペン軸とインクも必要になります。今回は、ペン画を描く前提で検証してみました。最後まで読んでいただければ、あなたに合ったペン軸、インクを選択することができるようになります。
是非参考にしてみて下さい。
Contents
つけペン初心者が初めて使うには
つけペンを使うには、3つの道具を揃える必要があります。
- ペン先
- ペン軸
- インク
今回はペン軸とインクについて紹介します。ペン先について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
オススメのミリペンについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
オススメのボールペンについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
では、ペン軸からどうぞ!
ペン軸
ペン軸を選ぶにあたっては、自分の手にすんなり馴染むかどうか、を重視しましょう。
重要なポイントは以下の通りです。
- 太さ
- 長さ
- 重さ
- 材質
- 固定具合
これについては、人それぞれです。細いのがいい人、太いのがいい人、長いのがいい人、短いのがいい人、人それぞれです。あれこれ考える前に実際に実物を持ち、自分の手と相談しながら決めましょう。
ペン軸は工業製品であるため、ペン先をセットする溝の精度に個体差があります。同じ製品でも、簡単にペン先をセットできるものもあれば、奥まで刺さりにくいものもあります。簡単なら良い、というものでもありません。
セットしたときにしっかり奥まで刺さり、ペン先がぐらつかないものを選びましょう。
NIKKO・タチカワ 木製ペン軸
ペン先と同じブランドのペン軸です。私はいつもこれを愛用しています。私はこれで最長14時間程度描き続けていたことがありますが、何の問題もありませんでした。(効果には個人差があります。)
シンプルな木製ですが、これ以外にも、ラバーグリップの製品や、樹脂製の製品があります。
Gペン、スクールペン、かぶらペン、日本字ペンを使用する場合は、NIKKOのN-20(上画像青丸)を使用します。丸ペンを使用する場合はN-17(上画像赤丸)を使用します。どちらもすでに生産中止で、在庫品のみの販売になっています。
黒い木製の軸に金色のロゴが輝くNIKKO製に対し、タチカワブランドは木目調です。T-17WD、T-20がありましたが、今ではラインナップがありません。残念です。
T-17WD、1本だけ持っています。
木製の軸にペン先を差し込む溝があるだけの単純な製品ですが、単純なだけに丈夫で使いやすくできています。何度もペン先を抜き差ししていますが、壊れません。10年、20年と使っていますが、いまだに現役です。
新しいモデルでは、丸ペンもGペンもどちらも使えるフリーのものが多いのですが、便利なだけに耐久性はどうかな?と密かに思っています。(確認はしていませんが)
東京スライダ SLペン軸
東京スライダ製SL1994ペン軸です。
上は、前述したタチカワ製。下が東京スライダ製です。
このSL1994という製品は標準タイプのペン軸で、Gペンやかぶらペンを使用することができます。丸ペンを使いたい時は、SL1005という丸ペン専用軸を使用しましょう。
標準タイプは値段も手頃でお求めやすいのですが、丸ペン専用軸はちょっとお高いです。
差し込み口は金属製です。ガッチリ固定でき、抜き差しするのに苦労するほどです。
ガッチリ固定されたペン先は、精密な作業を長時間する際の疲れを軽減してくれます。
他にもたくさんラインナップがありますが、どれも手にしっくりなじみそうな、人間工学に基づいたデザインです。他社のペン軸がどうも馴染みにくいと感じる方は、一度試してみてください。
私も試してみました。確かに、長時間使用した時の疲労度は、他社の軸よりも少ないです。ペン先がしっかり固定できることと、持ちやすい形であることはもちろんですが、軸の長さも長めに作られていて、重量のバランスもとても良いです。
普段使いはこちらに乗り換えようかなぁと思案中です。
他にもいろいろなメーカーから発売されています。実際に手に取ってみて決定しましょう。
ペン先の固定が甘いもの、ぐらつくものはやめておきましょう。どんなに手に馴染んだとしても、ぐらついては集中して絵を描くことはできません。
インク
ミリペンやボールペンと違い、つけペンでは自分でインクをペン先につける必要があります。初心者の方がつけペンを使おうと思った時、どんなインクを選んだら良いでしょうか。
ボールペンの回でも触れましたが、インクには染料系と顔料系があります。絵画作品を制作するなら、顔料系の一択です。耐水性・耐光性に劣る染料系インクは、作品作りには向きません。
練習用として使う分には、染料系でも問題ありません。
パイロットインク「製図用」「証券用」
パイロットからは、製図用インクと証券用インクとがラインナップされています。この2つの違いですが・・・
ネットで調べてみると、こんな感じで紹介されていることが多いです。
- 性能的には、違いはない。
- 若干、証券用の方が薄く乾燥が少し早い。
- インク色は若干赤みがかった黒。
- 少しでも早く仕事を進めたい漫画家さんは、証券用のインク愛用している方が多い。
- 見た目の違いは、ロゴの色。製図用は銀色、証券用は金色。
実際に使ってみての感想
匂いがあります。証券用は墨のような匂いがします。製図用も匂いがありますが、墨の匂いではありません。わかりやすい例えが思いつかない、独特な匂いです。
劣化が早いという意見をネットで見ました。劣化すると、匂いがかなり悪化するようです。
インクの色は、確かに少々赤っぽいと感じました。そして少々薄く感じました。
証券用の方が薄めとのことでしたが、違いは全く分かりません。証券用と製図用、どちらも描き心地は変わりません。
最初は赤っぽさを強く感じたのですが、しばらく描いていると慣れてくるせいか、あまり感じなくなりました。
消しゴムをかけるとどうなるか、試してみました。
消しゴムで薄くなります。特に濃く塗りつぶすようにして描いたところが、薄くなりました。
今回は軽めにかけてあるのですが、強くかけるともっと薄くなりそうです。
残念ながら、消しゴムには弱いと言えるでしょう。
耐水性のあるはずの顔料インクですが、耐水性はどうでしょうか。
筆で水をつけてみたところ、クロスハッチを重ねて濃くしたところは、水に溶け出しています(画像丸枠)。証券用よりも製図用の方が、水には弱いです。
インクそのものが溶け出しているわけではなく、カーボンの紙への定着が甘いような気がします。消しゴムに弱いのもそのためでしょう。
証券用も製図用も、水彩やカラーインクと組み合わせて使うのはやめておいた方がいいでしょう。
墨汁 墨液
習字や書道でよく使う、いわゆる「墨」です。一口に墨といっても、いろいろな種類があります。
ペン画に使うなら、合成樹脂にカーボンブラックを混ぜ合わせた墨液が良いでしょう。リーズナブルで、耐水性もあります。
ペン画での使用の場合、そんなに使用量は多くありません。成分が劣化しにくい、乾燥が早いという点も、ペン画に向いています。
本格的な書道で使われている、いわゆる本物の墨汁は、色や香り、伸びやかさが全く違います。それもそのはず、合成樹脂は使わず、精製された天然の膠を100%使っています。
色の素となる煤の粒子も、一般に普及している製品は工業的に製造されたカーボンブラックなのですが、本格的な製品ともなると、油煙や松煙から作られた、10倍〜30倍程度も細かいものを使用しています。
固形墨を磨り足して、より深みを与えることもできます。
道具にこだわる方なら、こういった製品を選択したくなるところですが・・・
天然成分を使用しているだけに、日持ちの点で劣ります。成分が劣化します。また乾燥も遅いので注意が必要です。
それに、ペンで描いた線と筆で描いた絵は、同じ墨汁を使用していても全く印象が違います。ペンだけでなく筆も使い、いろいろな表現をしたい方ならともかく、私のようにペンのみで表現している方には、あまり本格的な墨汁には使わないほうが良いでしょう。
お買い求めやすい道具で、気楽に楽しむのもまた、ペン画の醍醐味です。
実際に使ってみた感想
お買い求めやすい墨汁ということで、近所のホームセンターの学童用書道用品売り場にあった墨汁を試してみました。
呉竹の墨汁で、60ml入りで300円以下で購入できます。かなりお買い得ですね。
ふたを開けると、匂いはあまりありません。PILOTさんの証券用インクの方が、墨の香りが強いです。
実際にペンで描いてみると、かなり濃い黒です。しかも赤っぽいとか、青っぽいとか、そういうこともなく、しっかりとした濃い黒です。
墨汁は消しゴムに弱いという情報もありますが、この製品で試してみたところ、そうでもありませんでした。左は消しゴム前、右は消しゴム後です。
多少薄くはなっていますが、並べて比較してやっとわかる程度です。他のインクにはもっと薄くなるものもあります。
値段も安く、色もしっかりしていて、消しゴムにも強い、これは最強のインクなのではないか?
と思って耐水性を試してみたところ・・・
残念ながらにじんでしまいました。画像は、影を描いたわけではなく、水を塗布した時のにじみです。
通販のレビューを見てみると、耐水性もそこそこある等の評価もちらほら見られましたが、残念ながら水には弱いです。やはり自分で試してみるのが大切です。
耐光性は時間をかけてみないと分からないのでなんとも言えません。
とはいえ、水彩と組み合わせたり、カラーインクと組み合わせたりしなければ、しっかりとした黒色の発色は素晴らしいものがあります。経済的にもお得なので、使い道によっては最強のインクになります。
子ども用か・・・と考えて試したことのない方は、ぜひ一度お試しください。
HOLBEIN DRAWING INK
ここから先はカラーインクです。カラーと言っても、当然黒色も含みます。
ペン画というと白黒のみの表現というイメージがありますが、カラーインクを使えばカラー作品も描くことができます。白黒のペン画は独特の風情があっていいですが、カラーにすると一気に鮮やかなペン画になります。
私が丸ペンと共に長年愛用してきたインクはこちら。HOLBEIN DRAWING INK です。
このシリーズのインクは染料系と顔料系の2種類があり、顔料系のインクには色の名前に「スペシャル」がついています。染料系のスタンダードなインクが全28色なのに対し、顔料系のスペシャル色は全7色と少なめです。注意書きには「使用前によく振ること」と記載されています。
絵の具メーカーならではの発色の良さ、優れた耐水性、1瓶30mlでキャップにスポイトが付いているなど、とても気に入っていたのですが、残念ながら2018年に生産終了となりました。
当時買い占めておいた在庫品も、色によってはもうなくなっています。
実際に使ってみての感想
匂いはありません。匂いが好きな方は、パイロットさんのインクを選択しましょう。
消しゴムには強いです。
若干、薄くはなっています。私は長年このインクでペン画を描き、消しゴムもかけてきました。薄くなってペン入れを追加したことはありません。
耐水性はどうでしょうか。
筆で水をつけてみましたが、特に問題ありません。蛍光ペンでも同様です。
ペンで描いた後に水彩で着彩するなどの使い道でも大丈夫です。
HOLBEIN ACRYLIC INK
生産終了となった HOLBEIN DRAWING INK の後継品です。
全49色、全て顔料系と、カラーラインナップが増えてます。
容量も1本あたり1000mlと大容量で、その分価格も高めです。(1mlあたりの単価はそう変わりませんが)
これは、インクのように使える「アクリル絵の具」です。かつて私は、普通のアクリル絵の具をインク代わりに使えないかと試行錯誤したことがあるのですが、結局ペンではうまく使えませんでした。さすが、画材の一流メーカー独自のノウハウを持っています。
実際に使ってみての感想
消しゴムに関しては、前述のDRAWING INK と同程度といった感じでした。
耐水性も、同じような感じです。
発色も綺麗で、耐水性も耐光性も申し分ありません。ただし実際に使ってみると、使い勝手は先代の HOLBEIN DRAWING INKとはちょっと違います。慣れるまで少し手こずるかも知れません。
DALER ROWNEY FWカラーインク
イギリスのメーカー、DALER ROWNEY社製の、顔料系アクリルインクです。顔料系なので、耐光性、耐水性に優れています。
内容量は29.5ml、カラーラインナップも32色と豊富です。ふたにはスポイトがついていて、使いやすくなっています。
実際に購入して試してみようと思い、AMAZONで検索してみたところどれもかなり高価でした。ちょっと、手が出ないな・・・。
もし使い勝手を知っている人がいましたら、教えて下さい。
FW だけでなく、パールセントという製品もあります。こちらは水性ですが、乾くと耐水性になります。パールという名前の通り、キラキラした真珠のような光沢です。
リキテックス リキッド
さらっとした液状の、顔料アクリル絵具です。顔料ですから、耐光性、耐水性に優れています。
ふたにはスポイトがついていて、使いやすくなっています。
内容量は30mlで、カラーラインナップはなんと55色。すごいですね。
こちらも検索してみましたが、DALER ROWNEY ほどではないにしろ、高価でした。送料を含めると手を出しづらいです。
送料無料、または店舗購入なら、試してみると良いでしょう。
つけペンで綺麗に仕上げるには、こまめにペン先の状態を確認しましょう。
ペン先についたインクの水分は自然と蒸発し、乾いたインクはペン先に固着し描くことができなくなります。
また紙の繊維やホコリを付着させてしまうこともあり、定期的にティッシュやウエスなどでペン先を拭き取る作業が必須となります。
また長期間使っていると、ペン先は摩耗します。描いているうちに線が太くなってきたなと思ったら、結構摩耗しています。
摩耗していても使用できます。太く描きたい部分、濃く描きたい部分に使用しましょう。
または思い切ってペン先を取り替えましょう。
私は研いで復活させていますが、これはあまり初心者にはオススメしません。慣れが必要です。
まとめ
いかがでしたか?
これらミリペンの特性を生かすには、ペン軸とインク選びが大切です。ペン画は時間をかけて仕上げていく技法ですので、自分の手に合うかどうか、は重要になってきます。今回の記事を参考にして、自分に合ったものを選びましょう。