おすすめのペン画ツール つけペン編
初心者がペン画を始めるには、ミリペンやボールペンが描きやすくてオススメですが、つけペンという種類のペンもあります。
つけペンというのは、自分でインクをペン先につけて文字や絵を描き、インクが切れたらまたつけて、を繰り返して描いていきます。ミリペンやボールペンのようにインクがセットされているわけではありません。
ミリペンやボールペンと違い、線に強弱をつけることができるという特徴があります。いろいろな種類の線を引く必要のある漫画家の方が、よく使っているイメージがありますね。
ある程度ペン画を描くことに慣れてきた方は、ぜひ試してみてください。
つけペンには相性があり、他人のオススメの一品が、必ずしも自分にとって使いやすいとは限りません。また使いこなすにはちょっとした修練が必要なものもあります。初心者向けとは言いにくいですが、表現の幅は格段に広がります。
今回の記事を最後まで読んでいただければ、自分のぴったりのペン先を選ぶことができるようになります。色々試してみて、自分に合ったものが見つけましょう!
ペン画におすすめなペン全般
ペン画を始めるためのペンには、大きく以下の種類があります:
- ミリペン
- ボールペン
- つけぺん
- 万年筆
今回はつけペンを紹介します。
ミリペンについて知りたい方については、以下の記事をご覧ください。
ボールペンについて知りたい方については、以下の記事をご覧ください。
つけペンは、3つの要素がそろってその機能を発揮します。それが
- ペン先
- ペン軸
- インク
です。ではこれから、ペン先について解説します。
よく使われるペン先 5選
現在、店頭やネット通販で購入できるペン先には、主に3つのブランドがあります。
- NIKKO
- タチカワ
- ゼブラ
このうち、NIKKOとタチカワは同じメーカー(株式会社立川ピン製作所)の別ブランドです。
ペン先の種類としては、主に以下の5種類があります。
- Gペン
- 丸ペン
- スクールペン
- 日本字ペン
- かぶらペン(メーカーにより名前が違います)
NIKKO サジペン
タチカワ スプーンペン
ゼブラ タマペン
これ以外にも、ガラス製のガラスペンや、万年筆と同じペン先だけどつけペンである、hocoroホコロ(SAILOR製)、iro-utsushiいろうつし(Pilot製)や、カリグラフィに特化したペン先・・・・、たくさんの種類がありますが、そこまでは検証していません。
コミックペンとも呼ばれる、ペン画を描くのに向いている上記5種類を検証してみました。
調べてみると、上記5種類の中で初心者でも使いやすいのは日本字ペンである、という意見がありました。他のペンを使いこなすには、慣れが必要とのことでしたが、実際私が使ってみた感想は以下の通りです。
Gペン
つけペンというと真っ先に名前があがるのが、このGペンです。
筆圧に強弱をつけることで、細い線から太い線まで描き分けることができます。
使いこなすには、慣れが必要と言われています。
メーカーより「細さ・太さ」「軟らかさ・硬さ」の性質指標が出されています。
Gペンは、強弱をつけやすい「太め」かつ「軟らかめ」ということになっています。
タチカワ、NIKKO、ゼブラと3つのブランドがありますが、タチカワとNIKKOはどちらも立川ピン製作所の製作です。「細さ太さ」「軟らかさ硬さ」の指標についても、同じということになっています。
違いを調べてみると、タチカワの方が硬め、NIKKOの方が柔らかめ、に作られていると言われていますが・・・。
これについてはGペンだけでなく、丸ペンやスクールペンなど他のペン先も同じらしいですが、果たしてどうでしょうか。
実際に使ってみての感想
1990年代半ばからペン画を描いてきた私の結論。
「どこも同じ」
違いは分かりませんでした。あえて言うなら、ゼブラのものが若干柔らかめの印象を受けましたが、タチカワとNIKKOについては、ほぼ区別がつきません。
私よりも繊細な指先の感覚を持っている方なら違いが分かるのかも知れませんが、大多数の方は、どれを使ってもそんなに違いはありません。
柔らかめのペン先は描きやすいです。強い太めの線を多用する方は、このGペンを使ってみてください。
太い線になるのが嫌だとか、普段から筆圧が強めで細い線を描くたくてもつい力が入って太くなってしまう、という方は、以下に紹介している丸ペンか、またはスクールペンが良いでしょう。
丸ペン
つけペンの中でも最も細密な表現に向いているのが、この丸ペンです。少女漫画のような、細く繊細な線を引くことができます。
私はいつも、この丸ペンを使って製作活動をしています。
性質の指標を見ると、極細で硬め。どちらかというと、専門家向けのような感じがしますね。
丸ペンもGペン同様、タチカワとNIKKOはどちらも同じメーカー製で、指標に違いがありません。ゼブラのものは指標がないため、実際に描いてみないと分かりません。
実際に使ってみての感想
タチカワとNIKKOに関しては、Gペン同様違いは分かりません。私自身がどちらも長年使ってきて、気にしたこともないです。取り違えても全く気がつきません。
ですが、ゼブラ製の丸ペンははっきり違いがあります。立川製作所に比べると、軟らかく、しなる感じがあります。丸ペン初心者にはゼブラ製が描きやすくて良いでしょう。
より細密な表現を追求しようと思ったら、ゼブラ製よりもタチカワ・NIKKOの方がおすすめです。私はいつもタチカワ・NIKKOの丸ペンを使っていますが、一度間違えてゼブラ製を購入しました。
すでにタチカワ・NIKKOに慣れていたので、「これは自分には合わない」と感じました。
丸ペンで描きたいけれど、どうも手こずっているという方は、ゼブラ製で試してみて下さい。
細密さばかりが注目されますが、力を込めて描けばGペンのような太い線を描くこともできます。
スクールペン
簿記・帳簿用に開発されたペン先です。
Gペンは線の太さを描き分ける、丸ペンは極細の細密な表現を可能にする、という特徴がありますが、このスクールペンは均一な線を引くことを特徴としています。
性能の指標はこちら。
Gペンより細く、丸ペンより太い、中間に位置しています。
硬さは意外にも、丸ペンよりも硬い位置付けですね。数あるタチカワ・NIKKOのペン先の中で、丸ペンを凌いで一番硬めということになっています。
実際に使ってみての感想
しなりの少ない、硬い描き心地です。
ただ丸ペンほど極細ではないです。描きやすさはスクールペンの方が上です。
丸ペンで描きたい、比較的柔らかめのゼブラ製丸ペンでもどうにも描きにくい・・・という方は、一旦このスクールペンで練習してみてはどうでしょうか。
また、Gペンでは軟らかすぎて線に強弱がつきすぎてしまう、それが嫌だという方にも向いています。
均一な、一定の太さの線を引くことに適しているということになっていますが、筆圧を強めて太い線を描くこともできます。ただし本来のスクールペンの使い方とは違うので、あまりオススメしません。
タチカワとNIKKOの2種類を描き比べてみました。こちらは若干NIKKOの方が軟かい印象を受けました。ただし何も聞かされずに描きくらべをしたら、どちらがどちらか当てる自信はありません。
そう言われればそんな気がする・・・程度ですので、試してみたい方はどちらのブランドも気にせず、入手できる方で試してみましょう。
かぶらペン
今回使ったかぶらペンはこちら。NIKKOのさじペンです。
メーカーによって呼び名の異なるかぶらペンですが、かの手塚治虫先生とそのアシスタントの方達はこのかぶらペンを主に使っていたそうです。
元は英字を書くためのペンでした。Gペンよりも硬く、均一で滑らかな線を引くことができます。
性能の指標はこちら。
Gペンよりもやや細め、やや硬めですが、スクールペンほどではない、といったところです。
ただし、かぶらペンにはクロームとニュームの2種類があります。今回試したのはクロームです。
クロムメッキが施され、耐久性や防錆製に優れています。ニュームよりも硬く均一な線を引くのに適しています。
一方ニュームはスズメッキが施されていて、クロームよりも軟らかく、強弱をつけやすくなっています。
耐久性はクロームに劣るため、長く使うには向きません。強弱をつけたいけどGペンは太いなぁと感じる場合は、このニュームのかぶらペンを試してみましょう。
実際に使ってみての感想
実際に使ってみると、確かにGペンよりも少し硬め、丸ペンやスクールペンよりも少し柔らかめで、使いやすいペンです。しかし何となく感じ方が違う。違和感を感じる。なぜだろうとよく見たら、原因が分かりました。
下の絵は分かりやすくするために強調していますが、
ペン先がわずかにそり返っていて、見た目のペン先と実際に紙に接するところが少しずれています。
かぶらペンは本来文字を書く目的で作られたものなので、ペン先が紙に引っかかりにくいよう、このような加工がされています。
いつも使っている丸ペンは以下の感じ。
見た目のペン先と、紙に接する部分は同じです。
おそらく慣れてしまえは違和感はなくなるでしょう。手塚プロに愛用されていただけあって、使いやすくていいペンです。クロームかニュームか、どちらが良いかは人それぞれ。実際に使ってから決めると良いでしょう。
日本字ペン
名前の通り、日本の文字を書くために開発された、かぶらペンの改造版みたいなものです。
メーカーの見解でも、初心者がつけペンを試してみたい場合、オススメはこの日本字ペンということになっています。上下や左右どの方向に描いても、ひっかかったりすることが少なく、クセがないペン先です。
性能の指標はこちら。
細さは細いと太いの中間程度。硬さもクロームのかぶらペンと同じくらいで、極端な感じはありません。描きやすそうですね。
実際に使ってみての感想
タチカワの方がやや硬め、NIKKOの方がやや軟らかめ、と感じましたが、おそらく知らずに使っていたら気がつかないレベルです。使ってみたい人は、ブランドを気にする必要はありません。入手しやすい方を使えばいいでしょう。
メーカーの言うとおり、引っかかったりかすれたりすることが少なく、描きやすいペン先です。かぶらペンと同様、ペン先の先端がわずかにそり返っているので、ちょっと違和感を感じる人もいるかと思います。
大丈夫、すぐ慣れます。
ペン軸・インク
以下の記事にまとめました。ご覧ください。
まとめ
いかがでしたか?
これらミリペンの特性を知ることで、自分のやりたい表現を実現できるようになります。適切な道具を使いこなすには、
まず自分で試してみること。
いいと思ったもので練習を積むこと。
です。この記事を参考にしていただき、自分に合ったペン先を是非見つけて下さい。
そしてペン画の基礎をしっかり学び、スキルを向上させて、プロ並みのペン画を目指しましょう。