冬物語 〜悶々とした日々〜
アトリエ松竹梅物語、今回は、受験生当時の私の悩みです。今では当たり前になってしまったペン画のスキルや知識、当然ですが受験生当時は何もなかったんです。
美大・芸大受験対策を始めたのはいいものの、自分のヘタクソさ、合格までの道のりの遠さを実感し、どうしたら絵が上手くなるか、悶々とした日々を過ごしていました。
でもこれは私だけでなく、周りの友人達も同様でした。自分よりもかなり前から受験対策に取り組んでいた友人たちですら思い悩むのですから、ついこの間始めたばかりの私なんて、見えない壁にせき止められた小人さんのようなものでした。
(意味不明)
今ならネットで調べればいくらでも方法は見つかりますが、時代はバブルの真最中
インターネットどころか、携帯電話すらなんてありません。(ショルダーホンというのがあったらしい)
絵画教室の先生は何人かいて、先生方の皆さんに相談もしましたが、画家としては実績十分な先生方も、教え方は昭和的。
「たくさん描いて上達しろ」とそんな感じでした。
もちろん、いろいろ指導はしてくださったのですが、当時の私には理解ができなかったことが多かったのです。
絵の上達法
「描いて白くしろ」
白いところも、紙の白のままでなく、薄く硬い鉛筆で描き込み、暗いところはもっと濃い鉛筆で十分に描き込めば、白いところが浮き上がり、全体の立体感が表現できます。
と今なら分かるのですが、当時の自分は「描いたら黒くなっちゃうじゃないか」と単純に思っていました。未熟者め・・。
「ガラスの向こう側を掛け」
透明なガラスは、こちら側を通して向こう側が見えるので、こちら側だけでなく向こう側を描き込むことで、ガラスの透明感を表現できます。
当時の自分は、向こう側を描いたらこちら側が見えなくなるやんって、本気で思いました。未熟者め・・。
「早く描け。遅いことは猫でもやるぞ」
受験の時は制限時間内である程度完成させないといけません。のんびり描いている暇はないのです。当時の自分は、いまいちピンときていませんでした。未熟者め・・。
でも、猫は描かんぞ。
「こんなタイヤ、車につけても走れんぞ」
ある日の静物デッサンのモチーフは、鉄チンホイール付きのタイヤ1個でした。一生懸命描いてそれなりに仕上げたつもりでしたが、講評での第1声がこれでした。
自分だけでなく、全員そうでしたが。
みんな一生懸命描いたのに、第一声がそれっすか・・・。
今では時代も変わり、こんな教え方はしていないと思います。
今振り返ると、本当に未熟者でしたね。何しろ、当時は描き方の基本を知りませんでした。
(例)円柱の描き方
①中心線を引く
②直径を引く
③半径が左右同じなるように印をつける
④楕円を描く(手前か奥か、上か下か、で曲率が変わる)
⑤光の位置を決めて陰影を描き込む
基本的な流れですが、当時は知りませんでした。初めて知ったのは、受験前の年末に参加した河○塾の冬期講習でした。それまではいきなり楕円から描き始めていました。
これじゃあタイヤが丸くならないのは当たり前でしょう。
そんな感じで、ずっと悩みました。トンネルに入り込んだ状態って、まさにこんな感じです。
こんな状態で、この先やっていけるのでしょうか?
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